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小箱が初めてここにやってきたあの夜。
女の子を夜間に追い出すわけにもいかず、一晩だけのつもりで家に入れた。
ところが、あれからずっと出て行かない。
和寿の部屋で寝起きして、ここから鎌倉八雲高校に通っている。
一人暮らしで借りた1LDKマンションに、寝室は一つしかない。
女の子なので、その一つしかない寝室を明け渡し、和寿はリビングで寝起きしている。
庇を貸して母屋を取られるとはこのことだ。
鎌倉八雲高校の制服も届き、今は同じ恰好となったが、しばらくは違う制服で通っていたのと、サクラソウ事件を解決したことで目立ってしまった。
濡れ衣を着せられそうになった苫米が、汚名返上とばかりに触れ回った効果も大きい。
そのため、女子高生探偵としてすっかり有名になった。
和寿としては、一刻も早くこの問題を解消したい。
親戚とはいえ、男女が一緒に暮らすのも、同じ学校の同じクラスなのも、いろいろ含めて立場上まずいことも知っている。
小箱は、身内であることがバレるなんてまったく想像していない。
『この学校って、佐藤姓が多いわよね。こんなに多いんだから、親戚だなんて誰も思わないから』と、振り切られた。
確かに、佐藤は多い。苗字からバレる心配はないだろう。
あとは、二人の行動だ。
そこから怪しまれないように、学校では極端に冷たく無視している。
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