最終章 付きまとう影

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「その時のやり取りした中で、気になったメッセージがあったの。もしかしたら、犯人につながりそうなことが……」 「それは、とても気になるな。なんて書かれていたんだ?」 「私の後ろを、とてもお洒落な人が歩いているって」  不審人物かと思いきや真逆。  女子高生らしいといえばらしい。 「ほ、ほー。よほど目立ったんだな」 「ずっと同じ方向だから、気になっちゃうとも書いてある」 「それだけで、そいつが犯人だとわかるのか?」 「那由の家は、海にとても近くて小さな集落にあるの。歩いている人は地元の人ばかりで顔見知り。だから、那由は気になったのよ。見たことのない人がいることに」 「なるほど。他には?」 「セールスマンにしてはお洒落だから違うだろうって」 「セールスマンにしては、お洒落か……。男ってことだよな」 「那由がセールスマンにたとえたってことは、スーツを着ているってこと。セールスマンは、清潔感を求められてもお洒落は求められない」 「ああ、確かにそうだな」 「そうなると、セールスマンじゃない。ますます、何の目的で自分の家に向かって歩いているのかわからないから不安だったと思うの。それが、私に連絡してきた理由だと思う」 「そいつの写真はないのか?」 「盗撮なんてしないわよ」 「そうだな。盗撮はしないか」  何事もなかったなら笑い話ですんだのに、事件が起きているということは、そいつが犯人である可能性はとても高い。  考えただけで震撼する。
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