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「警察に伝えた?」
「ええ。もちろん。だけど、友人が送ったんじゃないかって言うの。でも、私にはわかる。那由が書く文章じゃないってことが」
警察が信じなかったのも無理はない。那由のスマホから送られてきて、それを犯人が送信したかどうかなんて、和寿にだって判別できない。
長い付き合いの友人である小箱だからこそ、生じる違和感。
「小箱の言うことは、全部信じる」
「信じてくれるの?」
「ああ、もちろん」
小箱が目を潤ませた。
「良かった……。和寿さんが信じてくれなかったらどうしようかと思った」
「小箱がこんな恐ろしい目に遭っていたなんて……。もっと早く知りたかった……」
「和寿さん」
小箱が、和寿の胸に飛び込んできた。
「私、本当は怖かった……。だけど、お父さんにもお母さんにもおばあちゃんにもおじいちゃんにも、このことを言えなかった……。犯人を刺激してはいけないと思って……。だって、向こうは実家の住所を知っているんだもの。今、初めて警察以外に話したの……」
打ち明けてくれたことに感激した和寿は、小箱の細い肩をそっと抱きしめる。
「ここのことを犯人は知らない。いくらでもいていい」
引っ越し・転校で緊張がほぐれた小箱は、自由闊達に行動できるようになって学校生活を心から楽しんでいる。
それがわかれば、探偵部なんてやめろと言えなくなった。
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