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暇な野次馬も数名付いてきたので教室へ追いやると、奈爪と苫米の二人を机の横に立たせて話を聞いた。
「ふむふむ。奈爪は昨日の夕方遅く、帰ろうと歩いていると、花壇の近くで手を洗っていた苫米の姿を見かけたんだな」
「そうです」
「でも、それだけでは犯人と決めつけることはできないな」
「私、あんなことをしていません」
奈爪は驚くことを言った。
「先生は知らないでしょうけど、彼女は今までも人の物を盗んだり、隠したり、捨てたりしたことがあります」
「そんなことが!?」
苫米がそのような問題行動のある生徒だと全く知らなった和寿は、ただただ驚いた。
苫米は真っ赤になって反論した。
「私、そんなことをしていません!」
「彼女はこの通りの嘘つきです」
「ひどい! いつ、私が!?」
つかみ合いの喧嘩が起きそうになったので、和寿が慌てて口を挿んだ。
「まあ、まあ。今回のことは、苫米が自分で元通りに直すことと、反省文を書いて……」
苫米が絶望の表情となった。
「ちょっと待った!」
「へ?」
女生徒が元気よく割って入ってきたので、三人は会話を中断してそちらを見た。
鎌倉八雲高校とは違う制服を着ている女子。
和寿は、その顔を見てギョッとした。
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