プロローグ サクラソウは語った

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「え? あ?」  和寿一人が戸惑い、奈爪と苫米は訳がわからない。 「誰よ? どこの高校?」 「私は、今日付けで、この鎌倉八雲高校に転校してきた佐藤小箱です」 「転校生? 制服が違うじゃない」 「準備が間に合わなくて、前の制服を着てきただけ」 「…………」  和寿は、彼女をよく知っていた。  佐藤小箱は自分の姪だ。  しかし、自分の勤める高校に転校してくることは、全く知らなった。 「今日からここに通うことになりました。よろしくお願いします」  あんぐりと口を開けたままの和寿に向かって、丁寧に頭を下げて挨拶する小箱。 「あ……、え……」  まともに言葉が出てこない。 「私のことより、今はサクラソウの事件ですよね」 「ああ、そうだけど」 「一人の発言だけで、この人を犯人だと決めつけるのは早くないですか? 全然、彼女の話を聞いてないじゃないですか」 「そうかな……」 「さっきから聞いていれば、彼女は否定していました」 「でも……」 「もっと、きちんと事件を検証すべきです」 「わかった。でも、どうやって?」 「もう一度、現場を調べましょう」  小箱の意見に流されて、再び荒らされた花壇に戻った。
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