プロローグ サクラソウは語った

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「包帯を外して見せれば疑いは晴れる。見せてみなさい」 「いやよ……」  奈爪は、少しずつ弱気になっていく。 「私が外すわ」  小箱が強引に奈爪の包帯を外した。  人差し指、親指、手の平の内側に水泡がブツブツと表れて赤くなっている。これでは、全体に包帯を巻かないと隠しきれない。 「まさに、サクラソウを掴んで触った場所に出ているわね。これが、あなたが犯人だという動かぬ証拠。何か反論はある?」 「………………」  苫米は、黙ってしまった奈爪を問い詰めた。 「奈爪さん、そうなの? あなたがやったの? それで私のせいにしようとしたの?」 「う、うるさい!」 「どうして? どうして、そんなことをしたの?」 「あなたが嫌いだからよ! 困らせてやりたかったの!」 「ええ!?」  驚愕の動機に、一同は声も出せない。 「たまたま、昨日あなたが一人でいるところを見かけて、サクラソウを荒らして犯人にしてやろうと思いついたのよ。今朝になって、痒くて、痒くて。原因がわからなくて怖かったけど、サクラソウのアレルギーだったなんて……」  痒くなった奈爪は、右手の水泡を左手で盛んに掻きだした。 (罰が当たっている)と、他の三人は同じことを考えた。
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