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小箱は、爽やかにほほ笑んだ。
「これで、事件解決ね」
苫米は、えん罪を晴らしてくれた小箱に大いに感謝した。
「ありがとう。お陰で助かった」
奈爪が苦々しく聞いた。
「何なのよ、あんた!」
「転校生の佐藤小箱。趣味は推理。これは、皆さんへのほんのご挨拶代わりの推理です」
綺麗にまとめたところで、予鈴が鳴りだす。
――キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン……
「君は職員室に来なさい」
和寿が奈爪を職員室に連れていこうとすると、小箱が呼び止めた。
「先生、私は?」
「ああ、君も職員室まで来なさい。転校手続きがまだだろ」
「そうでーす!」
小箱は、スキップしながら嬉しそうに和寿たちに付いていった。
手続きを済ませた小箱は、転校生として和寿のクラスに入り、美少女だったので男子には大いに歓迎された。
(小箱にはいろいろ聞きたいことがある。なぜ、ここに転校してきたのか。家ではどうなっているのか)
聞きたいことが山のようにあったが、転入手続きに加え、サクラソウ事件の後始末に手間を取られてすっかり時間がなくなり後回しとなった。
小箱の転入書類によると、住所は実家となっている。ここに通うにはやや遠い。
小箱は、和寿の兄の娘であるが、兄嫁の連れ子で血のつながりはない。
それでも、小さいころ兄に引き取られたのでお互いによく知っている。
兄に電話で事情を聞きたかったが、職務に忙殺されてその暇がない。
小箱とも言葉を交わすことなく放課後となった。
仕事を終えて家に帰ると、小箱が当たり前のように家の前にいたので、腰を抜かすほど吃驚したのであった。
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