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第一章 カササギ伝説殺人事件
“ジリリリ……”
目覚まし時計のアラームに起こされた佐藤小箱は、極端に寝起きが悪い。いつだって爽やかな目覚めとはいかない。
「フワアアア……」
大きくあくびとともに、上半身を起こす。しかし、思い通りに動かせない。
ベッドから寝ぼけまなこではい出ると、ふらふらと立ち上がって歩き出した。
途端に、枕元に張られたタコ糸に足が引っ掛かって転倒した。
「わあ!」
“ドン! ガチャガチャガッチャン!”
タコ糸の両端に縛られた二つのペットボトルがはずみで宙に舞い、中に入れられた数個のビー玉によって派手な音を立てて小箱の上に落ちてきた。
「どうした!」
音に驚いた和寿が、慌ててドアを開けて入ってきた。
パジャマ姿の小箱がタコ糸に絡まって、2本のペットボトルとともに倒れている。
「何をやっているんだ?」
「アイテテテ……。寝る前に、トラップを仕掛けていたことを忘れていた……」
起き上がった小箱は、ぶつけた膝をさすって痛がっている。
「トラップ? もしかして、お前は俺が夜中に忍び込むんじゃないかと考えて、罠を仕掛けたというのか? 俺がそんなことをするか!」
自尊心を傷つけられた和寿は憤ったが、小箱は違うと否定した。
「違うよー。泥棒避けのおまじないみたいなもの。叔父さんのことは信用しているってば。そうでなければ、一緒に住まないよ」
「それもそうか」
和寿は、思い直して落ち着いた。
「でも、トラップはやめろ。朝から近所迷惑だ。そうでなくても、変な目で見られる状況だというのに」
「ファーア……」
我関せずの小箱は、ボサボサの頭で大あくび。
「真面目に聞け」
「そんなことより、いつまで見ているのよ」
「ググ……」
和寿は、部屋から出ると扉をバタンと閉めた。
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