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最終章 付きまとう影
神奈川県では、県内にある公私立高校が参加する『神奈川県公私立高等学校連絡協議会』があり、情報交換会が定期的に開催されている。
通常は校長が参加するのだが、度重なる不祥事により多忙なため和寿が代理で特別参加することとなり、横浜の会場に足を運んだ。
続々と参集する参加者を見ていると、和寿がとびぬけて若い。
校長からは、座って話を聞いていればいいという話だったが、場違い感はある。
会議が始まると、同じぐらいの若手がゆっくりと入ってきた。
切れ長の目に整った顔立ち。細身のネクタイとデザインスーツ。ラペルピン、カフスボタンなどの小物アイテムをスマートに使いこなしている。
机上に置かれた学校名を見ると、『県立総新高等学校』と書かれている。
(総新高等学校って、小箱が前に通っていた高校じゃないか。あの先生なら、小箱がどんな高校生活を送っていたか知っているかも)
貴重な証言を得られそうなので、あとで声を掛けてみることにした。
檀上の会長が議事を進行していく。
「ニュースですでにお聞き及びのことと思いますが、県内南東部で高校在学中の女子生徒の不審死が多発しております。残念なことに、犯人は検挙されておりません。警察関係者によりますと、これらの死には連続性があるかもしれないということで、慎重な捜査をされているとのことです」
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