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これは、僕が東京の大学に出てきて二年目に聞いた噂、そしてそれにまつわるある出来事についての話だ。
グリーンカーディガンおばさん。
僕はその名前を思い出すと、今でも洗濯機を夜に回すことができない。
東京は京王線沿いのとある駅に、僕のマンションはあった。
家賃は親と折半だったけど、親の支払い額はしっかりとカウントしていて、就職後は月賦で返すことになっていた。
そこまでしても、近代的なマンションに住みたかった。
なにせそれまで僕が住んでいた田舎というのは、山の中の盆地で、うっそうとした森に囲まれており、とにかく気味の悪い土地だった。
僕は幽霊の類が大の苦手だ。
東京だって、古い木造アパートがたくさんある。そうした建物の物陰を見るだけで、何かが潜んでいそうで、昼間でも背筋が寒くなった。
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