ロングウェイ・トゥ・ホーム

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 駅を出ると、そこは小さな商店街だった。本来なら活気に満ち、賑わいを見せていてもいい時間帯なのだが、今は人気もない。店で買い物をする客の姿もなく、店員の姿すらない。というより、開いている店より、シャッターが降りている店のほうが多いような気さえする。おそらく、今が特別だってわけじゃなく。いつだってこんな感じなんだろうな……俺はなんとなくそう思った。  すると、俺の前に、小さな子供が走り出てきた。子供か……。そう、こんな町にも、子供がいるんだ。町を出て行かず、ここに残った若者の、その子供が。その選択を俺がどうこういう権利などまったくない。ただ、この子もまた、この町に残るとは限らない……。  俺はふいにそんな思いに捕らわれ、何か切ない気分に襲われた。そして、声をあげ駆け寄って来る子供に向かって、ショットガンの狙いを定めた。  どごおおん! という爆音と共に、子供の小さな頭が吹っ飛んだ。頭を失くした胴体は、首の上から噴水のように血を噴出させながら、少しだけヨロヨロと歩いた後、バッタリと倒れ。俺がそれを見届け、構えていたショットガンを降ろそうかという時。その子供の母親だろうか、若い女が俺に飛び掛ってきた。金きり声をあげ、目を剥いたその表情に俺は一瞬ひるみ、狙いが狂った。  がうううん! 弾は女の肩口に当たり、関節を失くした女の左腕が、傷口からぶら~~んと垂れ下がった。撃たれた瞬間は動きが止まったその女だったが、それでも狂ったような叫び声をあげて、再び俺に襲い掛かって来た。これが、母親の強さってやつなのか……? 俺は飛び掛って来た女の体に、ほとんどショットガンの銃口を接するような状態で引き金を引いた。  ぐちゃっ!   ……今度は銃声と共に、肉が抉られ、切り裂かれる、嫌な音が響いた。俺の顔も、着ていた白いシャツも、女の返り血を浴びてあっという間に真っ赤になった。女の体は、間近で銃弾を浴び、その傷口からひしゃげたようになって、銃口の前からズルリと崩れ落ちた。  俺が背負っていたリュックからタオルを取り出し、顔についた血を拭っていると。銃声を聞きつけたのか、無人かと思えたいくつかの店から、何人かの人影が現れた。なんだ、みんなやっぱり「そこ」にいたのか。自分のこれまでの生活を刻み付けた「そこ」に……! 
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