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「警察だ。観念しろ」 という感じに、なんかこう威圧的に、警察ってのは来るもんだと決め付けていた。だから拍子抜けした。なぜなら男が、 「警察です」 と冷静な声で、穏便に、丸まりきった黒ずんだ消しゴムみたいに無害に私に告げたからだ。 警察でしたか、と私は言い、目の前のカフェラテをのほほんと飲む。まるで、男に呼び出されたからこのカフェに来たっていうんでなく、普通に余暇を優雅に過ごすために訪れたんだぜっていうふうに。 悪いことなんもしてませんよ、と私は言い、カフェラテを置く。男はそのカップを見ながら、 「ですよね」と言った。 私の知人がなんかやらかしたんですか、と私は言い、またカフェラテを飲む。男はその動作を追いながら、 「違います」と言った。 じゃあなんですか、と私は言い、カフェラテを置く。今度は男はカップを追跡しなかった。 「どこから説明すればいいのか、いつも迷うんですが」と男は顎を掻いた。そして言った。「僕は遡上警察です」 「...は?」
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