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友人とは、大学からの付き合いだった。講義のある日はいつも一緒に学食を食べた。
カウンターに並んで座るとき、彼女の脚はいつも私のほうにはみ出してきた。
甲高くてうるさい声だった。
パスタを途中で噛み切るので、細切れの麺が皿にぼたぼた落ちた。
自分の話ばかり延々とし続けた。
彼女が死んで初めて、『彼女を殺せばよかった』、と思った。殺せる可能性もあったのだ、ということを意識した。
ひとたびそう感じると、胸のうずきが止まらなかった。
知り合いらが講堂に現れ事故の話で持ち切りになった後も、講義が始まったにも関わらず事故の話がやまないそのあいだも、運動会の開会直前に似たわくわく、そわそわが止まらなかった。
私には、友人を殺すという未来がありえた。
その可能性を確かめたくてならなかった。
一日の講義を終えた私は、事故の現場を再訪することにする。
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