はじまりのおわり

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はじまりのおわり

 新しいと言ったって、ただ新学期が始まっただけのこと。  4月、桜なんか咲いちゃって。  学校だって教室が一学年変わっただけ。  通う道も、家を出る時間も、何も変わらない。  いつものように、いつもの制服を着て、いつものバスに乗る。  心なしか、バスに乗っている人たちの視線が気になる。  うちの学校の制服、このあたりじゃ可愛いって言われてるし。  まあ、制服で選んだわけじゃないけど、悪い気はしない。  学校に着いて、校門をくぐる。  あ、そうか。  今年の新入生から制服、変わったんだった。  服が違うからか、「わ、センパイだ」みたいな目線を感じる。  この「センパイ」って響き、嫌いじゃない。  社会に出るとなかなか使わないから、学生の特権だよね。  ふふ、なんか、気分がいい。  クラス発表のボードを横目に見て、いざ、教室へ。  着くのが早すぎたかな、だれもいない。  席はまだ決まってないけど、選べるならここがいいな、一番後ろ、窓際(まどぎわ)。  あの人、ずっとこの席だった。  いつも窓向いてて、何見てるんだろって思ってた。  で、気が付くと寝てたし。  先生が近づくと、まわりの友達が起こしてくれてて。  みんなから好かれてるなー、って、思ってた。  今年も同じクラスだといいな、なんてね。  椅子を引いて座ると、思うより素足(すあし)には冷たかった。  あの人みたいに、机に()()してみる。  顔にあたる木の感触、やっぱり冷たい。  けど、なんかちょっと顔が熱かったから、気持ちよかった。
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