僕は死んだ

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 それが僕のさらなる失敗だった。  いずれわかる。『樹海』にミスはつきもので、それは僕がプログラムではなく生きている人間だからだ。それはそれで大事なことだが、いくつも重ねたミスは僕が生存することを許してくれない。  僕は次の部屋で2体のモッツァレラに遭遇した。なんだか自分の行動が悪い流れに沿っていることが予感される。彼らのうち1体は“行動”1回分の距離にいた。僕は先ほどの教訓を活かし、その場で1回足踏みをした。“行動”を消費したわけだ。  モッツァレラは予想通り隣接してきた。ぽよんぽよんと跳ねている。  僕は今素手ではなく武器を持っている。先ほどまでは状況が異なる。 『ケイタの攻撃! モッツァレラに6ポイントのダメージ! モッツァレラをやっつけた!』  そんな感じだ。  悪い予感とは裏腹に、僕は1撃でモッツァレラをやっつけられる状態になっていた。これで先手を取られない限り僕がダメージを負うことはない。それを祝福するようにどこからともなくファンファーレが鳴り、僕のレベルが上がったことが自覚される。     
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