28人が本棚に入れています
本棚に追加
それが僕のさらなる失敗だった。
いずれわかる。『樹海』にミスはつきもので、それは僕がプログラムではなく生きている人間だからだ。それはそれで大事なことだが、いくつも重ねたミスは僕が生存することを許してくれない。
僕は次の部屋で2体のモッツァレラに遭遇した。なんだか自分の行動が悪い流れに沿っていることが予感される。彼らのうち1体は“行動”1回分の距離にいた。僕は先ほどの教訓を活かし、その場で1回足踏みをした。“行動”を消費したわけだ。
モッツァレラは予想通り隣接してきた。ぽよんぽよんと跳ねている。
僕は今素手ではなく武器を持っている。先ほどまでは状況が異なる。
『ケイタの攻撃! モッツァレラに6ポイントのダメージ! モッツァレラをやっつけた!』
そんな感じだ。
悪い予感とは裏腹に、僕は1撃でモッツァレラをやっつけられる状態になっていた。これで先手を取られない限り僕がダメージを負うことはない。それを祝福するようにどこからともなくファンファーレが鳴り、僕のレベルが上がったことが自覚される。
最初のコメントを投稿しよう!