死んだ翌日

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死んだ翌日

 天井が見えていた。  どうやら仰向けに寝ているらしい。いつもの習慣で枕元に手をやると、いつもの場所にスマホがあった。  日付と時刻を確認する。日曜日の朝だった。  夢だったのだろうか?  僕は睡眠トラップとでも言うべきもののおかげで、ぬいぐるみのようなモンスターたちに殺された筈だ。あれは土曜日昼前の出来事で、夢でなかったとすれば、あれから半日以上が経過していることになる。  服装を確認する。昨日『マカロニ』に向けて出発したままの格好だ。靴は履いておらず、立ち上がった僕は自分の家の自分の部屋の自分のベッドにそれまで横たわっていたことを知った。  腰に手をやる。アイテムを入れていた袋の代わりにカラビナで僕のバッグが固定されている。中には本が入っていた。取り出して見てみると、僕が昨日読み終えた本ではなかった。好きな作家の未読の文庫が僕のブックカバーに覆われている。  まったく覚えていないが、どうやら僕は昨日図書館に行って予定通り読み終わった本を返却し、新しく1冊を借りてきたらしい。恐ろしいことである。  窓から身を乗り出し見てみると、僕の自転車は所定の位置に停まっていた。     
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