死んだ翌日

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 河相さんが来店した場合、僕は彼女が座る位置に注目する。カウンター席に座る場合は僕や西片さんと話しながら食事を取るための来店で、テーブル席に座る場合は持ち込んだ仕事を処理するための来店だからだ。河相さんはテーブル席に腰かけた。  お仕事モードだ。僕は許されるコミュニケーションが限定されることを受け入れる。お冷やを提供しながら、確実にお届けした方が良いと思われる情報だけを口にするのだ。 「今日はカレーがありますよ」 「ほう」と河相さんは顔を上げた。  河相さんの鋭い眼差しが僕を射抜く。僕が現在用意できるカレーの種類を紹介すると、背もたれに体重を預けて天を仰ぎ、何やら悩んでいる様子である。  河相さんの細く長い首が露わになっている。良い眺めだと僕は思った。河相さんはのけぞったまま僕の目をまっすぐ睨んだ。 「実は、今日はあまりお腹が空いてないんだ。だから、ここは、オムカレー」 「カツカレーではなく?」 「仕事もしないといけないんだよ」  河相さんは搾り出すようにそう言った。「オムカレーにする」 「実は僕、ご飯まだなんですよね。よかったらカツを半分こしません?」 「本当に?」いつもポーカーフェイスな河相さんが相好を崩す。「君はひょっとしていい奴なのか? ん? 天才か?」 「オムの上に乗せていいですか?」 「お願いします」と河相さんは言った。     
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