死んだ翌日

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 それまで家事を手伝うような習慣もなく、イチからすべてを教わった。今ではそれなりに業務をこなせるようになっているが、その日の孤軍奮闘は明らかに予定通りのものではなく、それを想定した一応西片さんのフォローがあるテスト労働などを事前にすることなく行われたのだ。  その理由がサッカーとは知らなかった。何か西片さんの情熱をくすぐる事件が当時にあったというのだろうか? 「僕は知りませんでしたけど、前からサッカー好きなんですか?」 「いや、その試合はわたしも一緒に観たんだけど、はじめて観るって言ってたよ。わたしの仕事は知ってただろうし興味はあったのかもしれないけどね」 「へええ。世の中は知らないことだらけですね。何かきっかけがあったんですか?」 「きっかけはあれだよ。内藤昂」  ないとうたかし? 不意打ちを食らった僕はリアクションが取れなかった。 「知らない? 内藤昂。サッカー選手で、確か黒原くんと同じ年だよ。高校生プロ! しかもまだ2年生! みたいな感じでニュースになったこともあると思うんだけど」 「同級生です」 「あら本当? そういえば同じ学校か。仲良いの?」 「どうですかね。あまり良くないかもしれません」  僕の声色が如実に変わっていたのかもしれない。河相さんはその後話題を変え、僕としばらく談話した。僕は河相さんの話を聞きながらカツを半人前乗せたオムカレーを用意し、提供する。残りの半分は僕のカレーの上だ。僕のカレーは昨日に引き続きまかないである。     
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