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ほかの客が来る前に手早く食べなければならない。河相さんとの会話は自然と減っていき、新しい来客によってなくなった。
河相さんは仕事モードに頭を切り替えたらしい。ブラックのコーヒーを何杯かおかわりしながらテーブル席でパソコンに向かって何か作業を続けている。僕は食器を片付け来客の相手をし、空いた時間に西片さんのことをぼんやりと考えた。
西片さんがサッカー好きになったとは知らなかった。それも、昂が原因で魅了されたとは。
内藤昂は高校2年生の、プロとしてはまだ公式戦に出場もしていないサッカー選手だ。しかし、既に彼は魅力にあふれており、それはサッカーに特別な興味がなかったであろう飲食店の店長をも引き込むことができるほどであるらしい。
そういえば昨日『マカロニ』の裏庭で彼らは昂のデビュー戦が決まりそうだ何だと話していた。それを見に行ったのかもしれない。この通り、僕はその間店でバイトだ。僕がはじめてひとりで働いたあの日もどうやらそうであったらしい。
バス停にバスが停車しているのに気がついた。
「おかわりくれない? ミルク入りで」
河相さんがリラックスした様子で声をかけてきた。僕は慌ててそれに対応する。
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