空腹感

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 そこでなるほどと思い至った。タッパーはおそらくこのような事態を回避するためのアイテムなのだろう。濡れてしおしおになった肉まんを眺め、僕はとても悲しい気持ちになった。  そして食料に危機が訪れたと思ったせいか、僕は小腹が空いているのに気がついた。確かに“満腹度”が40%まで減っている。40%。なるほど。  40パーセント!?  僕はその少なさに驚愕した。半分以下になっている。  確かに何度か“行動”するたびにこの数値は減少していく様子で、それは前回も今回も同じなのだが、いくらなんでもそこまで多くの“行動”をしたつもりはなかった。確かにフロアのすべてをくまなく歩き回ったり、必須ではない行動を何かととったり検証してみたりとしていたが、僕がなんとなくで把握している“満腹度”の減少速度を大きく逸脱している。  何が原因なのだろう? 幸いというべきか、考える時間は大量にあったため、僕は様々な思考を頭に浮かべた。  そして思い至った。タングステンシールドだ。この防具の説明文には“重い”といった表記があり、しかし僕にその重さは感じられなかった。この不必要に思われる文言と多大な防御力に関連性があるとすれば、それは装備中満腹度の減少速度が増大するといった効果であっても不思議はないだろう。     
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