一席目:豊楽亭の秘密

38/38
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
 師匠は、さとさんと私を交互に一瞥し、それまで以上に眉間の皺を深めた。 「十王庁から召集がかかった。ちさを連れて来いと」 「なんてこと……」  さとさんがサッと顔色を変えた。 「十王庁?」  耳慣れない言葉だが、何だか嫌な予感がする。 「地獄の役所……閻魔大王を筆頭に、亡者の罪を裁量する十の王が集う機関だ」 「つまり……私を連れて、地獄に来いって言われたって事ですか!?」  師匠の首肯を受け、私は、ゴクリと唾を飲み込んだ。 続く
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!