第八章

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「………本当に硬いんだから………2人共」  フォースィは2人の覚悟に諦め、両手を軽く上げて降参する。 「そういうフォースィさんは今後、どうされるおつもりですか?」  傍で見ていたバイオレットが尋ねてきた。  フォースィはクライルの言葉に答えを出せないままでいた。  クライルからの情報で、頭の中にあった複数の母が1つにまとまった。魔王によって生き返った母は最後には魔王と共に戦う仲間であったことも分かった。  だが何故タイサが魔王に一番近いのか、それが分からなかった。もしも魔王と話ができれば、もっと母の事を聞けるのかもしれない。フォースィの中で魔王に対する新しい興味が大きくなっていた。 「そうね………とりあえず、どんな歴史になるのか面白そうだから、このまま貴方達についていくことにするわ。貴方もタイサにあったら何て言葉をかけるか、考えておくことね」 「そうですね………考えておきます」  フォースィの意地の悪い問いかけに、バイオレットは特に表情を変えることなく言い返す。  明日にはカデリア自治領との境界線であるシモノフの大関所跡に到着する。そこからさらにブレイダスまでは3日、ゲンテからはさらに1日の距離が開いている。魔王軍の動きがどこまで変化しているかは分からないが、デル達にとっては戻ることも止まることも許されず。進み続けなければならない道でもあった。
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