プレミアムフライデー・ナイト

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【side iroha/望月結菜】 いい意味でも悪い意味でも、遊び慣れてそう。 それが三人の第一印象だった。 飲み物を注文し終え、中身のない表面的な会話をしながら、全員が相手へと視線を走らせる。 顔、体格、雰囲気、喋り方、服装、持ち物。 どこに重きを置くかの違いはあれど、きっとみんな、最初のこのわずかな時間で、有りか無しかくらいのふるいにはかけるのだろう。 自分もしっかりとふるいをかけながら、心のどっかで、くだらないと思う。 人は見た目が9割、なんてよく聞くけれど、本当のところはどうなんだろう。 「じゃあちょっと、名前とか、そういうの一応やっときますか」 乾杯のあとそう言ったのは、一番入り口側、里美ちゃんの向かいに座っている、幹事でもある佐伯さんだ。 佐伯さんが隣の人の肩に手を勢いよく置いたせいで、その人が持つジョッキが傾いた。大きく波打ったビールがこぼれそうになり、こちらまでひやりとした。
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