プレミアムフライデー・ナイト

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“遊んでそうだけど、面白いし無害な人”。 よく通る明るい声で率先して話題を提供してくれる彼は、里美ちゃんから聞いていた通りの人柄みたいだった。 大学の同期生の彼らは、きっとこの三人で当時から合コンによく行っていたのだろう。パターン化していそうなその紹介の仕方は、とても反応を返しやすいものだった。 目鼻立ちのはっきりした顔は整っているとは言えないけれど、浮かべている人懐っこい笑みは愛嬌があるし、モテそう。 一番奥、坂上先生の向かいで、そんな佐伯さんを他人事(ひとごと)のような顔で眺めているのは、“何考えているかわからない奴”と紹介された浅野さんだ。 ガッチリとした体格の佐伯さんと違い全体的に華奢な浅野さんは、中性的なキレイな顔をしている。 斜めに流された前髪から覗く垂れ気味の瞳は眠そうで、口調や雰囲気は、はきはき喋る他の二人と比べ、穏やかでゆったりだ。
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