プレミアムフライデー・ナイト

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【side mitsuki/待宵】 合コンにおいて、男側からすれば返答の内容はそんなに重要じゃない。 くだらない振りに、とにかく笑顔さえ向けてくれればいい。 その点、目の前に座っている女の回答は満点、内容も上手かったから追加でプラス50点といったところだった。まあ、内心では鬱陶しいと思ってんだろうけど。 「欲しいってこと?」 ジョッキグラスをテーブルに置きながら、そう尋ねてみる。彼女はグラスに手を添えたまま、 「そうです。佐伯さんが家にいたら楽しそうじゃないですか?」と微笑んだ。 随分サービスのいい返事だ。予想通り、横に座っている佐伯が彼女の方にその大きな体を寄せた。 「じゃあ、持って帰ってください」 こうなると佐伯が調子に乗る。男側から振った答えにくい話題をこちらで回収し、長引かせないことも場を盛り上げるための大事な作業だ。 「定価50万ですけど大丈夫ですか?」 断るためのパスを出す。彼女はそれに乗っかって「じゃあ、いらないですー」と嫌味のない笑顔を俺と佐伯に等分した。
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