プレミアムフライデー・ナイト

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合コンか、そうでないかは何となくの雰囲気で分かる。あっちもほぼ間違いなく合コンだろうなと思いながら、視線を元に戻した。 「あと、何かある?」 佐伯が浅野と俺の顔を交互に見ながらそう言った。 「佐伯、彼女と最近どうなの?」 メニューを眺めながら尋ねると、佐伯は愛嬌のある顔を僅かに歪めた。所謂整った顔という訳ではないが、人懐っこい見た目は得をすることの方が多いらしい。 「合コンの前に女の話すんなよ。萎えるわ」 「別にいいじゃん。今日も適当に遊びたいだけだろ」 なぜ合コンに参加するか、真面目に彼女を探している男は勿論いるだろうけど、俺たちの場合はひと言で言うと惰性だ。 話が来たからとりあえず行っとくか的なもので、楽しければ何でもいい。 欲を言えば一回やれれば大満足だけど、合コンの後に男だけでグダグダと感想を述べ合う方が実は面白かったりする。 「お前もな」 「うん、俺もそう。俺らと合コンする相手、可哀そう」
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