プレミアムフライデー・ナイト

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【side mitsuki/待宵】 正直27にもなると、初対面で緊張することもなくなってしまった。 色んな事に鈍くなっていくことが歳を取るということなら、ジェットコースターが落ちる時のような合コンのフワフワ感を楽しめるのは、一体何歳くらいまでだろうか。 まだ若いという自覚は十分にあるが、近いうちに、『面倒くせー』が『フワフワ感』に勝つような気がする。目新しいもの、新鮮さ、そういうものが欲しいけど、惰性で参加する合コンにそれがあるとは思えない。 「初めまして」 佐伯と共に女の子たちが個室に入ってきて、場が華やぐ。形だけだが腰を浮かせ、愛想笑いを顔に貼り付けた。 「こんばんはー」 「お疲れ様です」 「よろしくお願いします」 それぞれが、とりあえずの定型句を口にする。 入口から奥に伸びた席。佐伯のすぐ後ろから入ってきた学生にほど近い雰囲気の若い女の子が、「麻里奈さん、先どうぞ」と小さな声で言いながら振り返った。
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