第2章

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「え、ちょっと」  慌てて隠そうとしたけれど、私の手から素早く奪い去っていく。そして、その数字を見て目を丸くした。 「うそ、紫蒼ってこんなに頭よかったの?」  藤花が大げさに驚いてみせる。確かに予想よりも良かったが、学年全体では、上の下くらいのレベルだ。そんなに目を見開いて驚くほどの成績ではない。つまり、藤花は私のことをかなりお馬鹿さんだと思っていたということだろう。 「藤花、勝手に見ちゃだめだよ」  のんびりとした口調で言いながら、桃もちゃっかり私の成績票を覗き込む。 「ホントだ、結構いいね」 「私の見たんだから、2人のも見せてよ!」  私が言うと、桃はすぐに成績票を差し出した。そして、渋る藤花の成績票を素早く奪い取って私に渡す。  桃は、私よりも成績がいい。ふわっとした雰囲気だから分かりづらいけど、やっぱり桃は何かが違う感じがする。一方の藤花は、予想以上というか、予想を下回ってひどかった。 「藤花ちゃんは、もうちょっとがんばらなきゃね」  桃がやっぱりのんびりとした口調で言う。 「紫蒼は仲間だと思ってたのに……」  藤花は、腕で目を隠す仕草で泣きまねをしながら言った。 「ねえ、紫蒼、何か勉強の秘訣はあるの?」  藤花が縋りつくような目をして私に聞く。
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