第3章

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 すると、センパイは少し顔を上げてから、ゆっくりとスプーンを取った。私もスプーンでハヤシライスをすくって口に運ぶ。深みのある複雑な味が口いっぱいに広がる。 「うわぁ、やっぱりおいしいですね」 「そうだね」  3口目が口の中から消えるのを待って私は言う。 「私は、センパイと知り合って、朝の退屈な時間がなくなったし、成績も上がったし、いいことばっかりです。それでも、会っちゃいけないっていうのなら、私が納得できる理由を教えてください」  センパイは一度持ち上げたスプーンを皿に戻し、少し考えてからハヤシライスを口に入れた。そしてしっかりと味わってそれを飲み込むと「分かった」と言った。
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