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ポンポンポンポン。
優しく頭を撫でながら、葛城が言葉を続けた。
「認めてしまえば気持ちを押さえる事が出来なくなった。お前が可愛くて愛しくて。3曲目のラブソングはお前に向かって演奏したりしたんだ。おい、あんまり見るな」
「だって…」
最初に見つめて来たのは葛城なのにと文句を言おうとしたが、近づいてきた葛城の唇に阻止された。
「ん……」
嬉しいという気持ちとこんな所でという羞恥心に揺れる一珂だが、執拗に与えられる葛城の熱に溶かされ次第に何も考えられなくなる。
甘い甘いキスに一珂の腰が砕けそうになり、ようやく唇が離れる。
唾液で濡れた唇が妙に生々しくて、一珂はぷいと視線をそらせた。
「びっくりしました」
「悪い」
「いえ、誕生日プレゼントだと思ってもらっておきます。あと、俺も7年前から葛城さんの事が好きでした」
「え?」
「本当ですよ。ただ、気づいたのはさっきですが」
視線を戻すと、最初はぽかんとしていた葛城が嬉しそうに表情を崩して笑いだした。
「ハハ、お互い鈍いな」
「そうですね」
「なあ、俺の家に行かないか。ここからだとタクシーですぐだし。……もちろん予定通りレストランで食事してケーキを買ってからでもいいが」
一見すると無口で少し怖そうな葛城は、一珂の気持ちを一番に考えてくれる優しい人だ。
「葛城さんの家に行きたいです」
「いいのか?」
「はい。俺も……男ですから」
「たくましな」
「ダメですか?」
「まさか。色んなイチが見られて嬉しい」
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