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「君はもっと自分を大切にしたほうがいい。それに風邪をひいて会社を休んだら、困る人が居るんじゃないか?」
「はい」
「じゃあ、遠慮するな。新品じゃないが、きちんと洗濯はしてるから」
「そんな事は心配してません」
「君はここに座って、ちょっとだけ待ってて」
一珂に笑いかけたマスターは、葛城を店の奥に案内した。
「シャワーも浴びれるけどどうする?」
「着替えだけで充分です」
「了解」
仮眠部屋なのかベッドとクローゼットしかないシンプルな部屋に葛城を案内したマスターは、ちょっと迷ってクローゼットからシャツとジーンズを取り出した。
「下着は大丈夫そう?」
「はい」
「良かった。きちんとした格好がなくてちぐはぐだけど我慢して」
綺麗めなアイロンのかかったシャツとブルージーンズは、葛城がはいているスムースレザーのローファーにピタリと合っている。
「すごく格好いいです」
「ありがとう。じゃあ着替えたら出て来て。あの子寂しがってるよ」
濡れてなかなか外れないボタンに苦戦しながら、葛城は急いで着替えた。
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