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放課後、体育館に行くと大勢の生徒が集まっていた。
「お前達、試合の事を誰かに話した?」
「いや、一輝が内緒だって言うから話してないよ」
「俺も」
「じゃあ、あいつらだな……」
体育館の使用許可を得るために、担任には事情を話していた。曲がった事が大嫌いな熱血教師である担任は、「頑張れよ」と言って使用を快諾してくれた。
あいつら一体何を考えているんだ。
まるで英雄になったみたいにみんなに手を振りながらやって来た3人組を、一輝は冷ややかな目で見つめた。
「待たせたな、奴隷になる覚悟はできたか?ここにいるみんなが証人だ。負けても逃げようとするなよ」
「ああ。その代わり俺が勝ったら約束通りみんなの前で弟に暴言をはいたことをきっちり謝罪してもらうからな」
一輝の言葉にギャラリーがざわつく。
こいつら試合の目的を正しく伝えてなかったな。つまらない嫉妬心で、関係のない弟に嫌がらせをしたことがみんなにバレてしまうとは考えなかったのだろうか。
「お前らが勝ったらな」
そんな事も分からない3人は自信満々に言い放った。
「じゃあ、始めようか」
と言ったものの、明確なルールを決めてないのでやりにくい。
「誰かボールをあげてくれませんか?」
ギャラリーに問いかけると、すっと手が上がった。
「児童会会長の竹中だ。僕がやるよ。ルールは3×3のでいいのかな?」
「なんだそれ。とりあえず先に5点取れば勝ちなんだよ」
3人の1人が答えると、竹中は頷いた。
「分かった。じゃあ、ジャンプボールをするから1人ずつ出て来て」
絶対に負けられない。
ジャンプした一輝は、高く上がったボールに思い切り手を伸ばした。
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