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何か買って行こうかと思ったか、1秒でも早く一珂に会いたくて葛城はまっすぐ果物屋に向かった。
差し入れといえば、目に浮かぶのは真山とかいう一珂の友人。見た目は元より中身も良くできた奴のようで、一珂が寒がっていると見て取るや、気づかれないように列を離れコンビニでコーヒーを買って来て、それを曲の切れ目に自然に手渡すという芸当まで出来る。
一珂の信頼を勝ち得ている男……か。一珂が真山に向ける笑顔を見ると心が狭いようだが正直悔しい。
そう言えばあいつ誰かに似ているような……。あ、一珂の兄の森沢だ。真山は森沢に似ているんだ。
真山も森沢のように男女共に人気なんだろう。そんな真山と派手な事が嫌いな一珂が友人というのに疑問を感じていたが、森沢と似ているのなら納得出来る。
あいつも森沢のように一珂を溺愛しているのだろう。ただ1つ違うのは森沢が一珂に向けるのが純粋な家族愛なのに対し、真山のものは恋愛感情だということだ。真山が一珂を見つめる眼差しは、この上なく優しくそして熱い熱をはらんでいた。
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