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恥ずかしいなぁ。
「さっきの無しです。忘れてください」
うつ向く一珂の頭に葛城の手が乗せられる。
慰めてくれるなんて葛城さんはやっぱり優しいなと思っていると。
「それは……できない」
葛城の言葉に驚いて、一珂は反射的に顔を上げた。
「え……」
「イチにも気づかれていたんだな。たぶん森沢にも気づかれていた。今考えると、俺は初めて会った時からイチに惹かれていたのかもしれないな」
ギターを置いた葛城が足を曲げ、一珂と目を合わせる。
「4歳も年上の兄貴の友達から恋愛感情を持たれていたなんて、ちょっと引くよな。だけど、本当なんだ」
「葛城さんが俺を……」
「そうだ。気持ちに気づいたのはステージの前だ。イチが緊張しているのに誰よりも早く気づいていたのに一番に声をかけることが出来なかったのがすごく悔しくて、それでそうか……って」
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