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初めて行われた新生徒会役員達の顔合わせの後、
僕だけが生徒会室に残るよう、一ノ瀬会長に言いつけられたのが事の始まりでした。
これまでそばに近付く事も、廊下ですれ違うことも恐れ多かった方と
こんな近くで、しかも二人っきり。
「生田くん。君ってさ」
良く通る、綺麗な声が僕の名前を呼んでくれた。
それだけで心臓がバクバク言い始めて、会長から目が離せなくなりました。
うわあ、まつげ長ッ!
色白ッ!
本当に天使みたいだ。
同じ空間のはずなのに、一ノ瀬会長の周りだけ
なんだか光り輝いて見えるんですけど。
感動すら覚えるこの光景の中、
憧れの人が目の前にいて、僕だけを見てるというこの状況にドキドキしすぎて
若干吐き気すら覚える程に緊張している僕の目が
見間違ったのでしょうか。
その綺麗な笑顔が一瞬、悪魔のように歪んで見えたのです。
緊張しすぎて感覚がおかしくなってしまったのでしょうか。
ポンコツな自分を情けなく思いつつ、改めて会長をしっかりと見ました。
するとどうでしょう。
僕の目に映る、とてつもなく綺麗な形をした唇から
まさかの言葉が溢れだしたのです。
「お前、なんかその小鹿みたいな顔がムカつく」
え?
一瞬、何を言われたのか意味がわかりませんでした。
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