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バカでも何でも良い。兎に角ここは、俺だけでも頑張らないと。相川さんを、これ以上巻き込めない。
呆れ顔のねぇ達に、精一杯抵抗する俺。そんな俺をただ見てるだけだった相川さんが、ボソッと呟くように口にした。
「私、誰かの家に泊まったりしたことない」
「…へ?」
この上なく間抜けな声が漏れる。
「そんな、友達同士みたいなこと。今までしたことない」
「……」
お、おいぃぃぃ!そんな…そんな目で俺を見るなよ!いつも雪女もビックリのブリザードな視線の癖して、何で今ちょっと子犬みたいな目ぇしてんの!?
ここでそれは、ズルくない!?
「何急に黙っちゃって」
俯いた俺に、渥美ねぇがそう口にする。
「いや…あの…」
「何、今度は無言の抵抗って訳?南、小花ちゃんがウチに泊まるのそんなに嫌なの」
嫌とか嫌じゃないとか、そういう問題じゃないでしょ。健全な男子高校生の家に、姉や両親が居るからと言って女の子が泊まっちゃうのは、モラル的にどうなのか。俺が言いたいのは、そこら辺なんだよ!
後はまぁ、俺はてっきり相川さんはねぇ達に気を遣って嫌々言ってるんだと思ってたから、一応男であり友達もどきでもある俺が何とかしないと、と思ってさ。
けど、当の本人は別に嫌じゃない感じ…寧ろ友達との初めてのお泊り!的な感じで若干期待しちゃってる風だし。ねぇ達が友達なのかどうかは、今は置いといて。
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