第八章「どうしてこうなった」

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唐揚げ、シーザーサラダ、フライドポテト、宅配ピザ、おにぎり、箸休めのお漬物…などなど。 理人が来る時でさえ、ここまで豪華なラインナップはそうそうない。まぁ、一個一個のメニューを見れば大したことはないかもしれないけど、テーブルに乗り切らないほどの量、ピザなんか、Lサイズが三枚だよ?凄くない!? 美味しそうな匂いが立ち込めるダイニングテーブルで、俺は妙にテンションが上がっていた。だって、宅配ピザって何かワクワクしない?え、俺だけ? いつもは一人暮らしの千里ねぇも、今日はこっちに泊まるらしい。ねぇ達+相川さんは、やっぱり何やら楽しそうだった。相川さんの表情だけ見れば別に楽しそうには見えないんだけど、俺には何となく分かる。彼女は、はしゃいでる…! 因みにキッチンに立ってこれらを作ったのは、母さんとねぇ達…では勿論なくて、母さんと俺と、そして父さん。何なら趣味と言っても良い位料理が好きな父さんは、相川さんが居ることもあって特に張り切ってた。 秘蔵のマイ包丁まで出しちゃって、切るの野菜と鶏肉位だったのにさ。 相川さんも手伝いを進言したけど、皆が揃って「気を遣わなくて良い」って笑顔。今はねぇ達に連れられて二階へと行ってしまっていた。 嫌そうじゃないからもう俺も何も言わないし、そもそも誰も俺の意見は聞かないので、口出しするのも止めた。 ていうか、相川さん元は俺の知り合いなのに、すっかりねぇ達の友達ってことになってるし。この家に来てからはねぇ達が相川さん占領して、ロクに喋れてもない。 何だよ、相川さんは元はと言えば俺の知り合いなのに… ん?何だ?俺は、何にちょっとイラっとしてるんだ? 「ちょっと南、ボサッとしてないで最後早く玉子茹でてよ」 母さんの一言にハッと我に返り、再び作業に集中する。てか、相川さんは良いとしてねぇ達が三人誰も手伝わないって何だよ。父さんも母さんも何にも言わないし、本当ねぇ達には甘いんだから。てか、茹で卵って最初に茹でない?普通。 「南、早く」 「は、はいっ」 …くそぅ。世の中は本当に不公平だ。
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