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ねぇ達の誰かかな、ノックするなんて珍しい。
「空いてますけどー」
ベッドから起き上がることなく、口だけ動かす。ノックと同じように控えめに少しだけ開けられたドアの隙間から、相川さんが顔を出した。
…相川さんが来ることは予想してなかった。ベッドから飛び降りて、大きくドアを開ける。
「相川さん?どうしたの?」
何で相川さんが居るのか一瞬混乱したけど、そういえば今日泊まるんだったね。お腹いっぱいで、危うく忘れかけてた。
「お姉さん達、皆お風呂終わったから相川君入って良いよって言ってた」
俺が大きく開いたドアをまた閉めて、狭い隙間から顔だけ覗かせて、相川さんはそう言った。
「え、わざわざ呼びに来てくれたの?ごめん!」
ちょっと、相川さんにこんなこと頼んだのはどのねぇですか!?
「私こそ、先にごめん」
「いやいや、お客さんなんだから当然だって!」
いつになく控えめな相川さんに、俺の調子も狂う。毒舌過ぎて俺のガラスのハートはいつも粉々だけど、しおらしい相川さんもそれはそれで接し方が分かんなくて辛い。
「相川さんはもう、入ったんだね」
言いながら、相川さんをチラ見。風呂上がりのほかほか相川さん。まぁ、相川さんの後にねぇ達が次々と入ったはずだから時間はそれなりに経ってるだろうけどさ。
…それにしても。
真っ白な肌はそのままで、ほっぺはほんのりピンク。短い髪は洗い立てでふわふわ、ドアの隙間からでもほんわり良い匂いが漂ってくる。
あれ、俺ん家のシャンプーとか使ってる筈だよね?こんな、良い匂いだったっけ?ていうか、買ったのかねぇに借りたのか分かんないけどラフな部屋着がまた何とも…
…お、お、俺は。俺は一体、今どんな目で相川さんを見てたんだ!最低だ、お風呂上がりのほかほか相川さんを舐め回すように見るなんて…とんだ煩悩野郎だ、俺は!
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