230人が本棚に入れています
本棚に追加
「成敗っ!!」
それはもう勢い良く、自分の右頬にグーパンチをかました。
「ぐぼぁうぇー」
「は!?ちょっと、急に何やってんの?」
相川さんは驚いて、ドアを全開にした。
「は、はは…ちょっと自分の中の邪悪な心を追い出しただけだから、気にしないで」
「…意味分かんないんだけど」
「分かんなくて良いよ」
右頬を押さえながら、俺はぎこちない笑顔を相川さんに向けた。
正直言うと、今まで彼女が欲しいと思ったことはあっても「この子を彼女にしたい」って具体的に考えたことはない。
誰かを好きになったり、特定の誰かにドキドキしたり、そんな経験もない。
可愛いなとか綺麗だなとかは良く思うけど、それ以上はない。だから、そんな感じの言葉も何のためらいもなく言えるわけで。
つまりは、誰かに対してエロ…邪な気持ちを抱いたこともないし、どっちかというとそっち方面は苦手。理人は面白がって良くえろ本カバンに入れて来るけど、ちゃんと見たことは一回もなかった。
…指のね、隙間からチラッと見たことくらいなら、あるよ?チラッとね?
女子からカッコいいって思われたい割にはその辺が良く分かんない俺。こういうとこも男として情けない部分だとは分かってるけど、良く分かんないもんは分かんないんだから、仕方ない。
…で、長々と何が言いたいかと言いますとですね。
目の前のこの状態のほかほか相川さんは、俺にとって目の毒であるということです。
…いや、決してエロい目では見てません!ちょっとしか!
最初のコメントを投稿しよう!