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「あ、渥美ねぇ…!」
「感謝しなさいよ、小花ちゃんと二人っきりにしてあげたんだから」
「あ、渥美ね…!」
「まぁ、暫くしたらドア開けてあげるから、それまでにちゃんと小花ちゃんモノにしなよ?」
「あ、渥美…!」
「ウチら、ショッピングモールの時からピーンと来てたんだよね、南絶対小花ちゃんが好きだって。んで、ヘタレだから自分では何もモーション起こせないんでしょ。どうせ」
「あ、渥…!」
「だからさぁ、小花ちゃんウチに招待して南に機会作ってやろうって、三人で考えた訳。ホント、できた姉達持って幸せだね、アンタ」
「あ…!」
「因みに、小花ちゃんに万が一性的なことしたらすぐ分かるから。そんで血祭りにあげるからね。まぁ、アンタには無理だろうけど。けど折角チャンス作ってあげたんだから、それとなくでも気持ちは伝えなさいよ。精々頑張れ、ヘタレ」
「…」
一方的に切れた電話、それを持つ俺の手はプルプルと震えてる。
「早乙女君?」
「…一個だけ、一個だけ言わせて」
「は?」
「全っっっ然、幸せじゃなーいっ!!!」
スマホ握り締めたまま、ドアに向かって思いっきり叫んだ。当然、相川さんはびっくりしてる。
「な、何よ急に」
フーフー肩で息しながら瞳孔かっ開いてる俺に、完全に引いている相川さん。これが…これが叫ばずにいられるか…!!
ドアガチャガチャやってみても、やっぱり開かない。握り締めたままのスマホがメッセージを受信、確認すると「それ以上騒いだら即バラす」絵文字も何もない。ヤツは、本気だ。
「俺…俺バラされる…!」
「は?何を」
「俺自身!きっとヤツは、俺をバラす気なんだ…!俺、もうだめだ殺されちゃう!」
スマホを放り投げて、頭を抱えて蹲る。
「意味分かんないけど、取り敢えず落ち着けバカ」
冷静にそう言いながら、相川さんは立ったまま蹲る俺の脇腹をつま先で軽く蹴った。
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