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「…ち、ちょっと!なな、何すんの!」
瞬時に飛び上がる俺。今、蹴ったよね!?軽くとはいえ、俺の脇腹蹴ったよね!?
「だから、落ち着けって。電話、渥美さんでしょ?何だって」
「俺を殺すって」
「はぁ?」
「俺を、バラすって!どうしよう相川さん!」
真剣に相川さんに詰め寄ると、溜息吐きながら両肩に置いた手を払われた。…ひ、酷い!
「大方、面白がって私と早乙女君二人っきりにしようってことでしょ」
あ、当たってる…凄い!
「この一日で、ねぇ達の人となりを完全に見破ったね相川さん…」
「大体、分かるでしょ」
腕組みしながらそう言う相川さんは、やっぱり冷静だった。
「まぁ、多少強引だけど悪い人達ではないから」
多少…?あ、あれが多少だって…?驚きを隠せない俺は、ポカンと口を開けたまま固まった。
「その内、出してくれるでしょ。まさか朝までってことはないだろうし」
「…俺もう、ねぇ達が分かんない」
まぁ、理解できたことなんか今までないけど。
「私も良く分かんないけど、取り敢えず悪意はないんじゃない?」
悪意、ないのか…?度が過ぎた悪戯心は、それはもう悪意と言っても過言ではないような…
「暫くは、大人しくしてよう」
相変わらず、冷静な相川さん。立ったまま腕組みのポーズも変わらず。
「い、いや…ここは抵抗するべきでしょ!」
最悪バラされても構わない!どうせ他人にとっちゃ大したことない秘密だし!
「いや逆効果でしょ。こっちからアクション起こしたら、益々面白がられるだけだって。大人しくしてたらつまんなくなって、その内止めるでしょ」
相川さんの冷静すぎる分析に、俺は目から鱗。そ、そうか…そういう考え方があるのか…今まで気付かなかった…!
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