第八章「どうしてこうなった」

19/28
前へ
/421ページ
次へ
「…ち、ちょっと!なな、何すんの!」 瞬時に飛び上がる俺。今、蹴ったよね!?軽くとはいえ、俺の脇腹蹴ったよね!? 「だから、落ち着けって。電話、渥美さんでしょ?何だって」 「俺を殺すって」 「はぁ?」 「俺を、バラすって!どうしよう相川さん!」 真剣に相川さんに詰め寄ると、溜息吐きながら両肩に置いた手を払われた。…ひ、酷い! 「大方、面白がって私と早乙女君二人っきりにしようってことでしょ」 あ、当たってる…凄い! 「この一日で、ねぇ達の人となりを完全に見破ったね相川さん…」 「大体、分かるでしょ」 腕組みしながらそう言う相川さんは、やっぱり冷静だった。 「まぁ、多少強引だけど悪い人達ではないから」 多少…?あ、あれが多少だって…?驚きを隠せない俺は、ポカンと口を開けたまま固まった。 「その内、出してくれるでしょ。まさか朝までってことはないだろうし」 「…俺もう、ねぇ達が分かんない」 まぁ、理解できたことなんか今までないけど。 「私も良く分かんないけど、取り敢えず悪意はないんじゃない?」 悪意、ないのか…?度が過ぎた悪戯心は、それはもう悪意と言っても過言ではないような… 「暫くは、大人しくしてよう」 相変わらず、冷静な相川さん。立ったまま腕組みのポーズも変わらず。 「い、いや…ここは抵抗するべきでしょ!」 最悪バラされても構わない!どうせ他人にとっちゃ大したことない秘密だし! 「いや逆効果でしょ。こっちからアクション起こしたら、益々面白がられるだけだって。大人しくしてたらつまんなくなって、その内止めるでしょ」 相川さんの冷静すぎる分析に、俺は目から鱗。そ、そうか…そういう考え方があるのか…今まで気付かなかった…!
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!

230人が本棚に入れています
本棚に追加