第八章「どうしてこうなった」

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「い、いやいやいや!俺何もしてない!」 「ち、近付いたっ!」 「いやだから、それはただスマホ取ろうとしただけで…」 「と、取ってって頼めば良いじゃん!何、自ら取りに来てんの!?」 「普通行くでしょ!そんな距離ないんだから」 「行かない!来るな!出てけ!」 もう、何言ってんのこの子! いきなりキレだした相川さんに応戦しながらも、困惑する。…いや、待てよ。相川さんとこんな感じのやり取りするのは、初めてじゃない筈だ。 普通に喋ってたと思ったら急にキレだして、早口で捲し立て出して…そう言う時の相川さんって、大体… 「…もしかして、照れてる?」 若干当てずっぽうで導き出した俺の言葉に、相川さんは物凄ーく分かりやすい動揺を見せた。 今時お笑い芸人のコントですら、そんな分かりやすい動揺はしないだろう。思いっきり肩揺らして、「ぎくっ!」って感じの表情。 「え…当たり…?」 相川さんは何も言わないけど、何も言わなくても見れば分かる。何時ものポーカーフェイスは、どこにもない。 「…こ、この野郎っ!」 「え、えっ?」 「こ…この、馬鹿!間抜け!すっとこどっこい!ヘッポコ!コンコンチキ!クルクルパー!スケコマシっ」 「ち、ちちちょっと!ス、ストップ!ストップ!」 顔を真っ赤にしながら有りったけの悪口を吐く相川さん。それにしても、言葉のチョイス!微妙に古くない?高一女子、クルクルパーとか言わなくない?てかスケコマシって、確かタラシ的な意味だよね?それ、俺じゃなくない? 「ほ、他は合ってるかもしれないけど、スケコマシは違くない!?俺、女子スケこませるほどモテないし!」 言っててちょっと悲しくなった!ここ突っ込まなくて良いとこだった! 「う、うるせーバーロー!」 「バ、バーロー!?」 もう、貴女何なの!?顔に似合わず、持ってくる言葉の範囲広くない!?バーローって、アイツじゃん!俺が産まれる前から子供になっちゃってて、俺が高校生になった今も子供のままの、頭のキレるアイツじゃん!いや、そもそもの起源は江戸っ子か…? って、そんなことは今どうでも良いんだって!
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