第八章「どうしてこうなった」

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相川さんの顔をまじまじと見ると、怒りなのか興奮なのか何なのか、顔は真っ赤で額には汗まで浮かんでる。 相川さんは、何でここまで動揺してるのか。そもそも、そんなに動揺する程恥ずかしい出来事なんか、この部屋に入ってからあったっけ? 思い返してみても、思い当たるフシが全くないから、困った。さっきスマホ取った時確かに近付いたけど、ちょっとだったし言う程近くなかったし。 うーん。この謎は実に厄介だ。こんな時、アイツが居れば俺の首の後ろにサクッと麻酔弾一刺しして、蝶ネクタイ越しに喋りながらパパッと解決してくれそうなのに。 …いやいや、そのネタはもう良いんだってば。 「相川さん、もしかしてずっと緊張してた…とか?」 恐る恐る、問うてみる。 「は、はぁっ!?」 案の定物凄い棘のある「はぁっ!?」をいただきました。けど顔が真っ赤なので、いつもより威圧効果は薄いです。 「だって、ちょっとしか近付いてないのに大袈裟に反応するしさ。さっき俺の上に倒れ込んだ時は平気そうだったのに。だから、もしかしたら俺と二人っきりの空間に緊張してんのかなー、なんて…」 ここまで言って、ハッとする。ヤベ、ちょっと調子に乗り過ぎたか…!?流石に怒りの相川が発動… 「……」 し、してない…だと…? 「……」 し、しない…!ホントに発動しない!いつもの「は?早乙女君頭可笑しいんじゃない?」とか言いつつのブリザード視線攻撃もない…! まさか、本当に緊張してる…?俺と二人っきりで?え、だって、この俺だよ?自分で言うのもなんだけど、可愛い顔してるよ?男っぽくないよ? なのに、緊張してるの?あの、相川さんが?
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