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「ま、まままぁ、俺ちゃんと分かってるから!相川さん前に、彼氏居たことないって言ってたよね?お、俺もそうだし。だ、だからさ、二人ともちょっと位緊張すんのは、当たり前だよね!」
ワザと声を張り上げて、何でもない風を装う俺。
「て、ていうか!冷静に考えたら笑えてこない!?だ、だって俺と相川さんだよ?間違ったって、何があるわけないじゃん、ねぇ!?」
兎に角、相川さんを安心させたかった。今のところ怯えてる様には見えないけど、もし俺が実は二重人格で意識失ってる内に相川さん襲っちゃったりしたら、それこそとんでもないことになる。
同志になんか戻れないし、口も聞いてもらえなくなっちゃう。そうなったら俺、多分一生立ち直れない。
まだ何とか喋れてる今の内に、いつものクールな相川小花に戻さないと…!
「相川さんが俺を男として意識する訳ないし、何なら俺相川さんより女子力高かったりして!ま、まぁ一応生物学上は男だし、二人きりの部屋は流石に緊張するか…!で、でもマジで緊張する必要とかないから!俺絶対、相川さんに何もしないし!」
必死でベラベラ喋りまくる俺は、俯いてる相川さんの耳がもう赤くないことに、当然気付けない。
「ていうか、万が一でも相川さんになんかしちゃったら、ブン殴られるどころじゃ済まなそうだしね!俺になら勝てそうって、前相川さんも言ってたじゃん。あれ、強ち間違いでもなさそう、はは…」
言ってて無性に悲しくなったけど、今更黙れない俺。
「まぁ、だからさ、相川さんは何も心配しないで…」
「もう、良いから」
ずっと俯いて黙ってた相川さんが、ここで漸く言葉を発した。
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