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「…お終いだ、早乙女南の人生はもう、お終いだ…っ」
床に胡座をかいて携帯片手にワナワナ震える俺の背中に、ベッドの上に座ってる理人は蹴りを入れた。
「い、いだっ!何すんだよっ」
「人ん家来て訳分かんないことばっか言ってんじゃねぇよ。てか来んの早過ぎな。まだ朝の八時半」
低血圧の理人は、朝が苦手。それを知っててこんな早くに来た俺も確かに悪い。悪いけど、そんなあからさまに不機嫌そうな顔しなくたって良いじゃん。
「何か…一人で居たくなくて」
「女子か。ドSキャラどーしたよ」
「あ…あれは、まだ勉強中…」
ショボくれる俺を横目に、理人はベッドに寝転がった。
「会得するする言いながら、もう八月半ばだぞ。夏休み半分過ぎたぞ」
そう、今は夏休み。理人の言う通り八月も半ばに差し掛かり、まだまだあると思ってた夏休みも後半月位しかない。
「お前、毎日俺と会ってないで少しは努力しろよ。情けないな」
「…前は、そのままで居ろって言ったくせに」
ブスッとしながら理人を睨む。眠くて不機嫌な理人は、いつもみたいにからかって来ない。
てか自分だって夏休み入ってすぐ彼女と別れて、またしょっ中俺ん家泊まってる癖に。
「まぁ、どーでも良いけど。興味ないし」
「そ、そんなこと言わないで!俺を見捨てないでよっ」
「…南、お前ドSになるどころか女々しくなってない?」
「な、なってない…なってないけど…」
うつ伏せで枕を抱えるようにしてる理人は、顔だけをこっちに向けた。
「どーせまたアレだろ、“相川さんから連絡が来ないー”ってヤツだろ」
「う…まぁそうだけど」
「よくもまぁ、毎日ウジウジウジウジ。女の腐ったのだな、お前は」
「ち、ちち違う!俺はちゃんと男だし、夏休み明けにはきっちりドS習得してるから!」
「なら、ちゃーんと考えてんだよな?」
ボサボサの髪から覗く切れ長の瞳に、俺は何故かドキッとしてしまった。
…い、いやいや!俺BLには興味ないからね!?確かに、寝起きの色気ハンパねぇって思ってるけど、違うからね!?
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