第九章「女心を教えてください」

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理人は本格的な睡眠に入ったらしく、部屋はシンと静まり返ってる。俺も床にゴロンと転がって、天井を見上げた。 ーー相川さんから、連絡がない。 ウチに泊まりに来て、俺の部屋に閉じ込められたあの日。相川さんは渥美ねぇの部屋に寝たっぽかった。 酔っ払いの優希ねぇが俺のベッドを占領したので、俺の寝床は必然的にリビングのソファに。優希ねぇの部屋に勝手に入ってベッド使ったなんてバレたら、何されるか分かんないし。 お風呂入って、リビングで寝て、朝。相川さんと渥美ねぇが降りて来て、おはようの挨拶。 起きてすぐ相川さんが居るってのが物凄く変な感じで、また何とも言えない気分になった。多分、上手く「おはよう」が言えずに「おひゃよう」的な感じになってた気がする。 リビングに降りて来た相川さんは、滅茶苦茶普通だった。既に身支度は終わってたらしく、寝起きの抜けた感じもなくて。通常運転、クールなポーカーフェイス美少女。 んで、相川さんは「朝食べない派なんで」とか言ってカフェオレだけ飲むと、そのまま家へと帰ってしまった。結局、大した話もできないまま。 父さんが車で送るって言ったけど、相川さんは「用があるから」と断って一人で帰っていった。 声をかけようにも家族が居たし、それ以前に何となく相川さんが俺から話しかけられたくない、みたいなオーラを出してる気がして、上手く話しかけられなかった。 いや、見た目はいつもと同じなんだけど。何となく話しかけ辛い雰囲気というか、何というか。兎に角、いつもと同じようで違うようで、でもやっぱり同じような。 まぁ、その時は「後で連絡して改めて謝ればいっか」位に思ってたから、特に気にしなかった。朝ご飯食べ終わった後に「昨日はねぇ達がごめん」ってメッセージ送ったら、「大丈夫」とだけ返ってきた。 そしてそれ以降、相川さんからの連絡は一度もない。俺がメッセージ送っても返信もないし、何回か電話したけどそれにも出てくれない。 メッセージは既読になってるから、怪我とかそんなんじゃなさそう。寧ろ既読無視、辛い。
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