第十五章「南、可愛い辞めるってよ」

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ーーあれから時は流れて、いよいよ今日は学園祭本番だ。と言っても正確には学園祭は昨日からで、昨日は生徒や教師のみの展示やちょっとした模擬店だけ。一般公開は今日なので、こっちの方が模擬店数もイベントも増えるし断然盛り上がる。 うちのクラスは結局、特に目立った模擬店はしなかった。今まで何かの授業で作った作品や文集を適当に並べてるだけ。興味あるのは保護者位だし、受付とかもなく出入りも自由の超シンプルな出し物。なので、クラスの皆は参加者的立場で学園祭を思いっきり楽しめる。 まぁ、三年になったら強制的に色々やらなきゃいけないみたいだし、初めての学園祭は楽しむ側に回らせてもらおう。 「瑠衣、真凛!チャレソンもうちょっとだね!応援行くから!」 「その衣装めっちゃカッコ良いね!目立ちそう」 「真凛はチャレダンも出るんでしょ?マジ凄いわ」 教室の中心で囲まれてるのは、瑠衣と真凛だ。女子を中心に、次々と応援の声が二人にかけられてて、それに若干緊張した笑顔で答えてる瑠衣。真凛は、至って通常のクールで冷静な感じだ。 「うわぁ、本気で緊張してきた…えーもう出るの辞めたくなってきた」 「こら瑠衣」 「だ、だってぇ…」 「良いじゃん別に失敗したって。取り敢えず楽しめればそれで良し」 「私は真凛みたいな度胸ないよぅ。優勝できないのは分かってるから良いけど、失敗はヤダぁ」 「まぁ、何とかなるっしょ」 「真凛男前過ぎ…」 「おい、遠くから孫を見つめるおじいちゃんみたいな顔になってんぞ南」
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