第三章「奇妙な関係」

2/17
前へ
/421ページ
次へ
「やっぱ、結構腫れてたね」 保健室での治療を終えて、今は校門前。靴下を脱ぐと足首が赤黒く変色して、その上結構腫れていた。 打ち身と捻挫、骨に異常があるといけないから、病院にも行かないといけないらしい。 「もう終わったんだから、帰れば良いのに」 ぶすっとした顔でそう言う彼女ーー先生が「相川さん」って呼んでたから名前は相川で間違いないはず。相川さんは、相変わらず不機嫌そう。 「家族迎えに来るんでしょ?それまで一緒に待ってるよ」 「ホントお節介」 「そう言う相川さんは可愛くないね」 「何で名前知ってんの?キモ」 「さっき先生が呼んでただろ!」 本当に、足を怪我しても口だけは元気。見た目と中身が違い過ぎる。ギャップが過ぎる。 結局何で怪我したのかちゃんとは教えてくれなかったけど、取り敢えず一安心。さっきの先輩達にやられたわけではないらしいけど、また会ったらその時こそ何が起こるか分からない。 ーーというわけで、家族が迎えに来るまで一緒に待つことにした俺。悪態吐かれながらこんなことして、俺ドSどころかドMじゃん。 一応眼鏡はかけてるけど、ドSキャラは一先ず中断。相川さん相手じゃ、とてもじゃないけど試す気にはなれなかった。 「名前」 「え?」 「アンタの名前、聞いてない」 相川さんは包帯の巻かれた足を見つめたまま、こっちは見ない。 「あぁ、俺早乙女。早乙女南」 「可愛い名前」 「…良く、言われる」 今日初めて話した相川さんにまで「可愛い」言われてしまった。…いや、名前のこと言われただけだからまだマシか。
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!

230人が本棚に入れています
本棚に追加