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「やっぱ、結構腫れてたね」
保健室での治療を終えて、今は校門前。靴下を脱ぐと足首が赤黒く変色して、その上結構腫れていた。
打ち身と捻挫、骨に異常があるといけないから、病院にも行かないといけないらしい。
「もう終わったんだから、帰れば良いのに」
ぶすっとした顔でそう言う彼女ーー先生が「相川さん」って呼んでたから名前は相川で間違いないはず。相川さんは、相変わらず不機嫌そう。
「家族迎えに来るんでしょ?それまで一緒に待ってるよ」
「ホントお節介」
「そう言う相川さんは可愛くないね」
「何で名前知ってんの?キモ」
「さっき先生が呼んでただろ!」
本当に、足を怪我しても口だけは元気。見た目と中身が違い過ぎる。ギャップが過ぎる。
結局何で怪我したのかちゃんとは教えてくれなかったけど、取り敢えず一安心。さっきの先輩達にやられたわけではないらしいけど、また会ったらその時こそ何が起こるか分からない。
ーーというわけで、家族が迎えに来るまで一緒に待つことにした俺。悪態吐かれながらこんなことして、俺ドSどころかドMじゃん。
一応眼鏡はかけてるけど、ドSキャラは一先ず中断。相川さん相手じゃ、とてもじゃないけど試す気にはなれなかった。
「名前」
「え?」
「アンタの名前、聞いてない」
相川さんは包帯の巻かれた足を見つめたまま、こっちは見ない。
「あぁ、俺早乙女。早乙女南」
「可愛い名前」
「…良く、言われる」
今日初めて話した相川さんにまで「可愛い」言われてしまった。…いや、名前のこと言われただけだからまだマシか。
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