第十七章「そう簡単にはいきませんよね、やっぱり」

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「…俺、変われたかなぁ」 ポツリとそう、呟けば。 「早乙女君は、変わってないよ」 唐突な言葉だったのに、相川さんは答えてくれた。 「早乙女君は、最初から。私を助けてくれたあの日からずっと、ずっと。可愛いじゃなくてカッコ良い早乙女南だよ。私にとっては、ね」 「まぁ、ドSではないけど。ていうか、そんなもんならなくて良いしね」 澄ました顔、けど握った手は熱いままだ。 「…そうかも。可愛いの真逆でドS目指してたけど、やっぱ俺には向いてないや、ドS」 苦笑いする俺、相川さんも柔らかい表情。 「なんだっけ、帝様だっけ」 茶化すように言う相川さん。 「そ、それはもう言わないで…ていうか、俺今考えれば相川さんのお兄さんにとんでもない態度ばっか取ってる気がするよ…」 ドSのなり方聞いたり、キラキラした目で見たり。相当気持ち悪かったに違いない。ていうか、ドS王子と混同してたなんて失礼な話だよホント。 「そこは気にしなくて良いんじゃない?兄ちゃん、早乙女君気に入ってるみたいだし」 「え、嘘」 「兄ちゃん、お世辞とか言わないから」 妹さんにそう言われると、ちょっとだけ安心かも。 「相川さんは…変わったね。いや、変わったっていうか…今のがホントの相川さんなのかも。可愛くて、優しくて、カッコ良くて可愛くて、可愛くて、後可愛くて…」 「ちょ、も、もう良いからっ」 プシューッて頭から湯気出そうな雰囲気の相川さん。言ってる俺も恥ずかしくなって、二人で黙り込んだ。 「…俺達、バカップルだね」 「古っ」 「えっ」 「あはは」 楽しそうな相川さんに、胸がホワンとした。
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