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「ま、俺が好きなのは瑠衣だから相川さんどんだけ可愛くても関係ないけどね」
スラスラッと、まるで「今日の一限数学だね」みたいなノリで理人はそう口にした。
俺達しかいない教室は元々静かだったけど、更にシーンと静まり返る。
「あれ、皆無視?」
理人だけが、いつもの調子だった。
「理人…今、何て?」
いや、理人のことだ。どうせいつもの軽いノリで…あれ、そう言えば理人が瑠衣に対してこんな風にふざけて言ったことなんて、あったっけ?
「だから、俺は瑠衣のことが好きだから他の女子がどんだけ可愛かろうが何の関係もないってこと」
そう口にする本人は、至って普通。からかってる感じも、照れてる感じもない。普通を絵に描いたような、普通だ。
「ち、ちょっと理人。いきなり何言ってんのよ」
冷静沈着なクールビューティ真凛も、流石に動揺してる。瑠衣に至っては、点だ。点を全力で表現してる。
ボールペンの中でインク仲間達と楽しくやってたと思ったら、何が起こったか分からない内に突然書かれちゃって、今自分がどこに居るのかも把握してない、紙の上の点。
「え、ダメ?」
「ダメじゃないけど…それ本気?それともタチ悪い冗談?」
「酷っ、本気に決まってんじゃん」
理人の言葉に、真凛は黙る。
…いや、だとしてそれをなぜ今言うんだ。ていうか理人は、本気で瑠衣のことが好きなの?え、嘘。一体、いつから?
ていうか高校入っても普通に彼女とか居たし、一緒に遊んでる時もそんな素振り全然…
なかったって、ホントに言える?
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